プラハの桜

そこを通り抜けようとする車が、呼び止められた。どうやら検問のようだ。簡単なやり取りと、荷物のチェックを終えると、さっと通り過ぎていった。次に来た車も後ろで待っている。どうやらここを通過する車は、検問を受けなければならないようだ。

ここは、プラハのマラーストラナ地区、アメリカ大使館の少し手前である。この通りをしばらく登っていけば、丘の上からプラハを見下ろせるはずだ。

立ち並ぶ大使館の巨大で豪勢なドアを見ながら、坂道を登っていく。しばらく行くともう息が切れてきた。もう70を超えているだろうと思われる老人3人がゆっくりと坂を登っていた。なんともたくましい。きっと彼らにそうさせるものが上にあるに違いない。追い抜いてから振り向く。よし、もっと上だ。

さらに20分ぐらい登ると、ストラホフ修道院の下に出た。街の方を向いて絵を書いている人がいる。振り返る。息を呑んだ。

さらに上へ行った。修道院を抜けてしばらく経つと、長い壁が見えてきた。飢えの壁だ。

どうやら丘の上まで来たようだ。壁沿いに歩いていき、展望台を抜けて、今度は下り坂だ。こちら側はアメリカ大使館があった方とは反対の尾根に当たるので、きっと違った景色が見られるだろう。

途中、番号が振られたキリスト教の壁画のようなものが並んでいた。しばらく降りていくと、歌が聞こえてくる。30人ぐらいのグループが見えてきた。ギターのようなもので伴奏して皆で歌いながら登ってくる。そして番号のついた壁画の前で、神父さまのような人が人々に何かを説明している。恐らくこの壁画は、番号順に神話か何かを伝えているのだろう。

道に迷った。リスが出てきた。

突然前が開けてきた。小さな壁が前方、下方に向かって伸びている。途中に隙間が見える。そこから開けている方へ出た。そこは桜でいっぱいだった。