7人目の侍

db4o2007-09-30

7人目の侍、これが私の中で大ヒットだ。ここんとこ1週間、寝ても覚めてもあのキャラが浮かぶ。そう、7人目の侍とは、あの「菊千代」様のことだ。

古今東西の英雄を取り上げて、お前だったら誰がいい?、という話をするのはよくあることだ。信長・秀吉・家康、はたまた、私は詳しくないのだが三国志のなんたらとか。それでは、黒澤明監督の「7人の侍」だったら、どの侍がいい?菊千代!7人目の侍!私なら真っ先にそう叫ぶ。

7人の侍の各キャラクターは、黒澤明監督が入念にイメージしたものだそうだ。呼び止められたらどう振り向くか、なんていうところまで想定して。一人一人見ていくと、なんと好奇心をかきたてられることか。それぞれがあの村で仲間になるまで、どういう人生を送ってきたのか・・・、考えてみるといろんなストーリーが浮かぶ。その中で、少し変わっていると思うのが、6人目の侍「勝四郎」と、7人目の侍「菊千代」だ。

勘兵衛が勝四郎に家へ帰るよう諭す場面がある。戦国の時代、侍は己を磨き、戦へ出て、手柄を立て、一国一城の主を夢見たが、すっかり頭には白いものが、と。そう、5人目までの侍は、言ってみればうまく手柄を立てることができなかった侍達だ。だからこそ、勘兵衛の人柄に惹かれるという要素はあるにせよ、いわば道草の戦いに挑むのも分からなくはない。6番目の勝四郎はそうではないが、まだ己を磨く段階にあるというだけで、まあ道は同じだろう。それでは菊千代は?

そこが分からない。もし本当に出世を目指すなら、あんなつまらない戦に手を貸すことは無かっただろう。菊千代は農民の出だ。だからといって、侍ではなくおとなしく農民だったとはとても言えない。もちろん野武士でもなかっただろう。ひょっとしたらそうであった時期はあるかもしれないが。そして、なんで盗人を捕まえようと勘兵衛が髪をそる時あそこにいたのか?あの村の人間だったのか、それともたまたま通りかかっただけなんだろうか。果たして、菊千代は仲間になる前何をしてきたのか?たぶん一ついえるのは、きっと菊千代らしい、破天荒な道を歩んできたであろうことだけだ。

結局、よく分からない。ただなんともいえない魅力がある。だから、「菊千代」がいい。