忘れ物はありませんか
名古屋から東名阪に乗って亀山へ。亀山からは国道を行くと、カーナビが国道から離脱するよう告げた。奈良まではまだかなりある。一瞬迷ったが、このままでは約束の9時より1時間は早く着いてしまうので、すぐにハンドルを左へ切った。
高架になっている国道を右折してくぐり、またすぐに右折の指示。今度はもう少し迷う。車がすれ違えない道。明らかに林道へといざなうこのカーナビ。
それでも、ラングラーの機嫌も悪くないし、右折した。
予想通りの道。家が近づくと、2速で徐行する。
そこにあるのは、畑と、農家と、曲がりくねった道。
開けた道へ出ると、そこから一気に奈良市へと下る。結局それでも30分は早い。5分と経たないうちに、見るからにバックパッカー御用達の宿を見つけ、車を入れる。
宿のオーナーに頼まれ、2組の外国人客の予定と朝食のオーダーをさばいていると、友人が現れた。もうかれこれ2年になる。そのときはいなかったかわいい子も一緒だ。
「どうして奈良なんだよ?奈良って俺ら日本人にとっては、修学旅行で行ったことがある、ただそれだけだぜ」
「香港では超有名なんだぜ。鹿の帽子を被るのがお決まりなんだよ」
悪くない。若草山へと登る有料道路は、桜で満開だ。頂上から、東大寺を見下ろしてみる。悪くない。千本桜か。
今年の春も、外国人が大挙してやってきた。今では、日本についてさえ、彼らから教わることが多い。
奈良。忘れ物はありませんか。きっと行けば何かみつかりますよ。