白い季節

db4o2008-07-04

「今日はどうしてるだろう?」のぞいてみたが、何も入っていないようだ。もしやこの暑さで・・・。

2008年7月4日の東京は、1995年以来、13年ぶりとなる7月の真夏日となった。赤坂から乃木坂へと南西へ向かって赤坂通を歩いてきたのだが、いつも歩いている南側の道に差し込むあまりの強さの日差しに負けて、木陰の多い北側を歩いてきたところだ。

乃木坂を登って外苑東通りをくぐり、南青山の方へ抜けていく。その先を抜けて六本木トンネルの手前、六本木、西麻布、青山一丁目へと通じる三叉路のところにある赤信号でたち止まったのだ。

いつの頃からかは忘れてしまったが、信号待ちをしていると、どこからともなく鳥の鳴く声が聞こえていた。最初のうちは、信号が青になると鳴りだす、新型の何かかと思った。しかしある日ふと上を見上げると、そこにいたのは鳥のひなだった。

信号の脇に備え付けられている小箱の、そこに入り込む太い電線より2周りぐらい大きく開いた穴から、2、3羽のひなが顔を覗かせていたのだった。

それからなんとなく毎日見上げるようになり、陰ながら成長を見守ってきたというわけだ。


こんなにかんかん照りの日の小箱の中は、それは大変な温度になっていることは想像に難くない。ふと下を見たが、幸いひなが落ちてしまったということはないようだ。前日見たときはもうだいぶ大きくなって大人とかわらないような姿だったから、ひょっとしたら巣立ったのかもしれない。

そんなことを考えながら横断歩道をわたりきると、反対側の信号の上に小さな小さな小鳥が目に入った。元気に鳴いている。一羽は楽しそうに信号と小箱の間を飛び跳ねている。同じひなとは分からないのだが、なぜかそうだという感じがして、なんだかうれしくなった。


どういうわけか、7月に入ってから、まぶしい。ふと息をのむ瞬間であふれている。

原 研哉さんの「白」という本のせいで、少しだけ感受性が研ぎすまされたのかもしれない。白は生命が誕生する特異点でもあるという。

少しだけ白について多くを感じるようになったら、初夏が白い季節に見えた。