Milesの音

db4o2006-12-29

Milesの音はなぜあれほど繊細で強いんだろうか、と誰もが思っていると思う。「Miles In Tokyo」は64年に録音されたものだが、この厚生年金会館で行われたライブは、事あるごとにMilesの音の伝説を伝えている。なんと最後尾までMilesの音が楽々届いたという。あのパワフルなPE'Zでさえ、ホールでは届かない。

もう1つのなぞは、どうしてMilesのマイクはトランペットについているのか、ということ。アルバムから流れるあの音は、もちろんそれによるものも大きい。トランペットにマイクを直接つけることができる人は他にいるのだろうか?

つまり、ホールでも、いやワイト島なんて10万人の野外ライブでも、まっすぐ届き、それでいてトランペットにマイクを直接つけられるぐらい繊細な音。ジャズ喫茶でボリューム全開で聞いてもうるさくない、いやむしろ全開で聞きたい音。

この疑問を、前回のレッスンで松島さんに聞いてみた。その理由は、音の通り易さというのは大きさとは関係ない。とにかくMilesの音はまっすぐ通る音だとのこと。そして、唇からすっかり力が抜けているので、すごく小さな音でもきれいに鳴らせるそうです。

ラッパを吹いている人には、高音をいかにリラックスして吹くか、それは大きな課題でしょう。どうしても流速を上げて高音を出してしまう。そうすると大きな音でしか高音が出せない。以前キースジャレットがこんなことを言っていた。Milesは最も正確にEフラットが出せる、と。これは恐らくCのスケールだから、ラッパで言うFのことで、たぶん高いFだと思う。いつもリラックスしてるからそんな高いFを楽に正確に出せるのかもしれない。