ケータイ市場におけるLinuxの躍進が示唆するもの

db4o2006-02-27

ケータイ市場でのLinuxの躍進がすごい。The new era of mobile Linux ubiquityPDF)では、Linuxの持つオープンソース、コミュニティ駆動という特徴が、この躍進の原動力になっていると説明している。非常に興味深いのは、Linuxの持つ性能など技術的な側面により製品レベルの意思決定で導入されているのではなく、経営者の戦略的な意思決定によってLinuxの採用が進んでいるということです。つまりある方向、コミュニティ駆動ビジネスへとシフトしつつあるということです。

それでは具体的にどのように優れているのか?簡単に言うと、「柔軟なソフトウェアスタックを使って、様々な付加価値の製品をタイムリーにリリースする」ということのようです。OEM、ODMのさらに進化した形といえるかもしれません。

今や星の数ほど増えたオープンソースプロジェクト。バラバラのままではそれらを利用する効率性は大きくなく、むしろ往々にして非効率となります。そこでドメインに応じてソフトウェアスタックを構築し、それらの上に付加価値を追加していく。

例えば先日このブログに書いた、ECM(コンテンツ管理)の世界標準プラットフォームとなるソフトウェアスタックを構築しようというApogeeプロジェクト。これもそういった例の一つであると考えています。この場合、db4oという組み込みデータベースを、Apogeeを使って製品開発をするユーザーはほとんど意識することがないでしょう。1コンポーネントベンダーから見た場合、ある種の発想の転換が必要かもしれません。つまり、db4oというあるコンポーネント自体がどうのというよりも、どれだけ有用で多くのソフトウェアスタックに利用されるか、ということが重要になってくるということです。

このように考えると、ある商品にとっては、いかに新陳代謝が活発なソフトウェアスタックを持つかということが重要になってきます。従来のクローズドなモデルとオープンなモデルのどちらが活発か?モバイル業界に見るLinuxの躍進は、まだSymbianが圧倒的な優勢なことには変わりないものの、答えのヒント、コミュニティ駆動ビジネスの真髄を教えてくれているのではないでしょうか。