#ヨミモノ

英語メディアに限って言うと、日本では有料会員または実際の雑誌でないと読めないような非常に読み応えのある記事が、それこそ読み切れない程ウェブ上に公開されている。

村上春樹氏のコラムによく出てくるThe New Yorkerに始まり、150年以上の歴史を持つThe Atlanticアメリカンスポーツのディープストーリーを届けるGrantland、世界中から選りすぐりのアドベンチャーを伝えてくれるOutsideなど、調査報道(例えばProPublica)や科学報道(Scientific AmericanやNewScientist)だけでなくその他あらゆるジャンルでそうした記事を発見することができる。

ただ全ての記事がそうした気合いの入った記事(採算度外視?フリーランスの意地?)なわけではないので、実際サイトから発見するのはそう簡単ではない。

しかし心配することなかれ。Twitterの検索で#longreadsと打ち込めば、一網打尽。ただしちょっとバリエーションがあって、sのない#longread、ほぼ同義の#longform、調査報道に特化した#muckreadsなどもある。

こうしたハッシュタグは自然発生的に人々が使い始めたわけではなく、#longreadsはLongreads、#longformはLongform.org、#muckreadsはProPublicaが仕掛け、運用している。

さて、こうして読み応えのある記事を発見するインフラは出来上がったのだが、もう一つ問題が。せっかくの記事、後でゆっくり読みたいんだけど・・・、とこうして自然にLongreadsやLongform.orgと連動して登場したのが後で読むサービスであるRead It LaterやInstapaper、Readabilityなどだ。記事を発見するインフラだけでなく、こうしたiPadなど読みやすいデバイスでゆっくり読める時に読めるようなツールも整っているのだ。

そもそもどうしてこれだけ無料で読み応えのある記事があるのか、ということについては、たぶん競争のせいもあるのだろうが、根本的に2つの精神が大きく関与していると思う。一つは民主主義を機能させるにはこうした調査報道が欠かせないという精神であり、もう一つは何かを相手に論理的に伝えるという科学報道の精神だ。

それじゃ我らが日本はどうかというと、確かにマスメディアを中心に表面的にはそれほど無いように見える。ただブログなどを含めて考えると、結構な記事が溢れているじゃないか!

ただこれを汲みやすくする#longreadsのようなインフラや、後で読むサービスのようなツールが無い。

そこで、地味にではありますが、まずは#longreadsのように、「お、これっていい記事だね」というのを集める日本語のインフラを作ろうと思います。#ヨミモノというハッシュタグを使ってヨミモノというサイトで運用します。

そうそう、ちょっと昔になりますが、日本文学地図というのを作ったことがありました。この時は手動でしたが、今度は自動で、記事から地名を取り出して地名&年代で記事が読めるようにしてみようと考えています。高松で高松の記事を読む。たぶんちょっとだけ面白く読めますよ。